00 / 夢と現実の狭間で

夢と現実の狭間で

 「そういえば、この間運ばれてきた患者さん、まだ目覚めないんですって。」
 それ程暇でもないのに、つい”おしゃべり”がしたくなるナースたちの会話だ。
 「頭を怪我して運ばれてきた人でしょう。金属バットで殴られたって聞いたわよ。」
 その会話を聞きつけ、また新たに一人のナースが会話に加わってきた。
 「その患者さんなら、何かの事件に巻き込まれたとも聞いたわ。」
 そこからは、昨日の夜に放送されたサスペンスドラマよろしく、女たちの推理合戦が始まる。
 小さい病院であるが故に、奇妙な患者の噂が広まる速度は異常である。
 彼女たちの会話が盛り上がりのピークに達し、遂には名探偵でも推理不可能な猟奇殺人事件に巻き込まれたという空想にまで膨らんだところで、不機嫌婦長が登場し、彼女の放った一言で空想は終わりを迎える。
 「あの患者さんの事は担当の先生に任せて、あなたたちは仕事を早く終わらせなさい。」



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